第6期 砂で世界旅行・東南アジア編 ~王朝の栄華とよみがえる神秘の国々~

「アンコールワット」や「歓喜の行進」など栄華を誇った王朝の姿、発展を続ける現代の東南アジアの姿など21体の砂像を制作展示。
茶圓勝彦氏をプロデューサーとし、海外から17名の砂像彫刻家が参加し、制作にあたった。

マーケットと街の賑わい

マーケットと街の賑わい

東南アジアの国々では、生鮮食品、香料、雑貨、衣類、民芸品などありとあらゆるものを取り扱うマーケットが各地で開かれ、そこで生活する人々の熱気と活気にあふれている。マーケットには屋台や露店が立ち並び、街の賑わいは多くの観光客も引き寄せる。その姿は、発展を続ける東南アジアの一つの顔でもある。 砂像彫刻者:Thomas Koet(トーマス・クォート)オランダ

バンコクの王宮とプラナコーンの街並み

バンコクの王宮とプラナコーンの街並み

東南アジアの中にあって、これまで入植されることなく発展を続けてきたタイ。首都であるバンコクは華やかな賑わいと厳かな仏教文化が息づき、古今の歴史と文化が見事に調和している。プラナコーン地区には、王宮をはじめとする歴史建造物や、由緒ある仏教寺院が集中する。 砂像彫刻者:Jill Harris(ジル・ハリス)アメリカ

古都ルアンプラバンのワット・シェントーン寺院

古都ルアンプラバンのワット・シェントーン寺院

数多くの寺院が点在し、市街地自体が世界文化遺産に登録されているルアンプラバン。そのシンボルともいえる、ワット・シェントーン寺院。1560年に建立され、歴代の王の戴冠式も行われてきた。ラオスは上座部仏教を中心とする敬虔な仏教国で、寺院は街のシンボルでもあり人々の信仰の象徴でもある。 砂像彫刻者:Brad Goll(ブラッド・ゴール)アメリカ

ライステラスと農民の暮らし

ライステラスと農民の暮らし

古来、東南アジアの民族の多くが稲作にたずさわり、稲作は人々のライフスタイルでもあった。現在でも東南アジアは世界有数の農業国家群である。水が張られたライステラス(棚田)の美しい姿は、水と共生する文化を営んできた東南アジアの人々の生活を象徴しているように感じる。1995年には、フィリピン・コルディリェーラの棚田群が世界遺産に登録されている。 砂像彫刻者:Enguerrand David(アンゲフォン・デイビッド)ベルギー

ボロブドゥール遺跡

ボロブドゥール遺跡

インドネシアにあり、8世紀~9世紀頃にかけて、シャイレーンドラ王家によって建造されたと伝わる、ボロブドゥール遺跡。ピラミッドを思わせるその頂点に巨大なストゥーバが鎮座する世界最大級の仏教寺院遺跡である。やがて、遺跡は密林の中に埋もれ、1814年頃に発見されるまで千年ものあいだ忘れ去られた遺跡であった。その原因は諸説あり、真相は謎のままであるが、1991年に寺院遺跡群として世界遺産に登録されることによって、さらに広く世界に知られることとなった。 砂像彫刻者:Joris Kivits(ヨーリス・キヴィッツ)ポルトガル

密林で幻の文明と遭遇した探検家

密林で幻の文明と遭遇した探検家

1814年、ジャワ島の統治を行っていたイギリス人のトーマス・ラッフルズによって、密林の中に埋もれているところを発見されたボロブドゥール遺跡。1860年、フランス人の探検家であるアンリ・ムオが密林の奥で出会うことによって、広く知られることとなったアンコールワット。いずれも西洋にとっては、神秘につつまれた未知の文明との衝撃的な出会いであった。彼らはそこに、かつて栄えた王朝の幻影を見たのかもしれない。 砂像彫刻者:Daniel Belcher(ダニエル・ベルチャー)アメリカ

歓喜の行進

歓喜の行進

クメール王朝は9世紀から15世紀頃にかけて東南アジア広域に覇をとなえ、ローマに例えられるほどの栄華を誇った。遠征に勝利した軍は、アンコールトムに5つある門の1つである勝利の門を通り、像のテラスへ向けて凱旋し、王都は歓喜の渦に包まれた。誇らしげに行進する兵士、王朝の繁栄を彩るアプサラダンサー、そんな栄華の様子がアンコール遺跡群には今でも息づいている。 砂像彫刻者:Iliya Filimontsev(イリヤ・フィリモンツェフ)ロシア

アンコールワット

アンコールワット

12世紀前半、カンボジアのクメール王朝によってヒンドゥー教寺院として建造された、アンコールワット。その後仏教寺院として改修されるが、1972年、内戦によって仏像の首ははねられ、寺院は破壊された。その後、1992年には世界文化遺産に登録された。現代においても、アンコールワットはカンボジアの象徴とされ、国旗の中央にも描かれている。遺跡全体に施された彫刻、朝日を背にしたシルエット、夕陽に照らされた黄金色の姿は、かつてそこにあった神秘的で荘厳な王朝の姿そのものであり、今も人々の心をつかんで離さない。 砂像彫刻者:Leonardo Ugolini(レオナルド・ウゴリニ)イタリア

熱帯雨林に潜む動物たち

熱帯雨林に潜む動物たち

東南アジア広域に分布する高温多湿な熱帯雨林には、数多くの動物たちが生息している。 大陸移動説によると偉大な地球のいとなみの中で異なる大陸から移り住んできた動物たちがこの地で遭遇し、共生と繁栄を繰り返してきた。しかし、乱獲や文明の発展と共に、ウンピョウやスマトラサイなど、絶滅の危機に瀕している動物たちもいる。 砂像彫刻者:Michela Ciappini(ミケーラ・チャピーニ)イタリア

王に奉げる舞踊

王に奉げる舞踊

東南アジア広域に伝わる宮廷舞踊。古くから宮廷で演じられてきたマレーシア舞踊、バリ舞踊、カンボジアのアプサラダンスなどがよく知られており、伝統芸能として今に伝わっている。舞踊の中には、神への奉げもの、大衆劇、豊作への祈りとして発展してきたものもある。多くの人々を魅了するその神秘的で優雅な動きは、フランスの著名な彫刻家ロダンもデッサンに残したほどである。 砂像彫刻者:Susanne Ruseler(スザンヌ・ルセラ)オランダ

影絵芝居 ワヤン・クリッ

影絵芝居 ワヤン・クリッ

操り人形を用いた影絵芝居は多くの国々にあるが、その中でもよく知られ、インドネシアの伝統文化である「ワヤン・クリッ」。人形の後方から光を当て、その影をスクリーンに投影して演じられる。神事芸能であり、祭りや結婚式などで上演されてきた芝居は、2009年、世界無形文化遺産に登録された。主な演目であるインドの叙事詩は、多くの人をひきつけ、今もなおその神話の世界を伝え続けている。 砂像彫刻者:Yan Lidong(ヤン・リドン)中国

古都ホイアン

古都ホイアン

ベトナム中部クアンナム省ダナン南方30キロに位置する古い港町「ホイアン」。チャンパ王国時代から栄えたホイアン港は、17世紀頃に一大交易拠点として最大の発展を遂げた。街に形成された中国人街やオランダ商館の設置などと同様に、千人以上の日本人が居住する日本人街も形成された。中でも多くの観光客で賑わう日本橋などは当時の名残を今に伝える。これらの美しい街並みは、1999年、古都ホイアンとして世界文化遺産に登録された。 砂像彫刻者:Brad Goll(ブラッド・ゴール)アメリカ

フィリピンのバロック様式教会

フィリピンのバロック様式教会

フィリピンがスペインの統治下にあった16世紀頃、キリスト教の布教とともに荘厳なバロック様式の教会が建設された。外壁には熱帯植物のレリーフや東洋的な装飾が施され、内部は鮮やかなステンドグラスと美しい宗教画で彩られている。スペインによる統治は永きにわたり、現在でも建造物や街並みにはその名残が多く残っていて、1993年、フィリピンのバロック様式教会群として世界文化遺産に登録されている。 砂像彫刻者:Richard Varano(リチャード・ヴァラノ)アメリカ

マラッカ海峡とシンガポール

マラッカ海峡とシンガポール

シンガポール、マレーシア、インドネシアの国々に囲まれるマラッカ海峡。西洋と東洋を結ぶ海上交通(海のシルクロード)の拠点である。マレーシアの港湾都市マラッカの街並みには、西洋の統治下にあった頃の各国の情緒が色濃く残り、「マラッカとジョージタウン、マラッカ海峡の古都群」として、2008年、世界文化遺産に登録されている。これら古都群より南東に位置し、マラッカ海峡の最南東でもあるシンガポール。街には高層ビルが立ち並び、その姿は現代の東南アジア発展の象徴ともいえる。 砂像彫刻者:Guy Deveau(ギー・ドゥヴォ)カナダ

沐浴場

沐浴場

一般的には、水や湯によって体の一部または全体を清める行為を意味する「沐浴」。 ヒンドゥー教では、沐浴を行うことで、罪を流し功徳を増すものとされている。アンコールワットの十字回廊にも、参拝者が身を清めたとも伝えられる沐浴場の跡がある。 砂像彫刻者:Sudarsan Pattnaik(スダサン・パタナイク)インド

守護神像ナーガ

守護神像ナーガ

頭部に無数の蛇を飾る蛇神であり、インドの神話に起源をもつ守護神ナーガ。アンコール遺跡群のいたるところに存在するその像は、アンコールワットの入口にも鎮座し、現代にいたるまで、寺院を守り続けている。 砂像彫刻者:Alexey Shchitov(アレクセイ・シチトフ)ロシア

パゴダと僧侶たち

パゴダと僧侶たち

主に仏塔を表す言葉として知られるパゴダは、お釈迦様の化身といわれている。ミャンマーのヤンゴンにあるシュエダゴン・パゴダは約2500年前に建造されたと伝えられ、その圧倒的な存在感を放つ黄金色の姿は、15世紀頃に再建されたものが原型である。これらパゴダは、古くより上座部仏教を中心とした敬虔な仏教国であるミャンマーの人々の信仰と崇拝の象徴であり、今も人々の生活に深く息づいている。 砂像彫刻者:Zhang Yan(チャン・ヤン)中国/Zhang Weikang(チャン・ウェイカン)中国

バリヒンドゥーの守り神

バリヒンドゥーの守り神

バリ島の人々のほとんどが信仰している、バリヒンドゥー。古来よりバリに伝わる信仰とヒンドゥー教やインド仏教が融合したものであり、ブサキ寺院やタマンアユン寺院などがよく知られる。島はバリヒンドゥーの神々に守られ、寺院のエキゾチックな雰囲気や美しい景観は、多くの観光客を魅了する。 砂像彫刻者:Katsuhiko Chaen(茶圓勝彦)日本

少数民族

少数民族

多様な言語・文化を持つ民族で構成される東南アジア。その中でも人口面・生活面等において、相対的に多数派に対して少数派の民族は、少数民族と呼ばれる。その村や街は山間部を中心に、東南アジアの各地に点在する。日本でもしばしば紹介されるパダウン族と呼ばれる民族は、長い首と美しい装飾が特徴的。 砂像彫刻者:Alexey Shchitov(アレクセイ・シチトフ)ロシア

世界の偉人・アウンサンスーチー(公開制作作品)

世界の偉人・アウンサンスーチー(公開制作作品)

ミャンマーにおける民主化運動の指導者であるアウンサンスーチー氏。 1988年からミャンマーの民主化運動に参加。その後本格的に政治活動を開始するが、民主化運動を弾圧する軍事政権によって、1989年に自宅軟禁にされた。そのあと約20年間のほとんどを自宅軟禁または獄中で過ごしている。非暴力によるミャンマーの民主化と人権回復の実現を主張してきたスーチー氏。彼女の勇気ある活動は世界中で評価され、1991年にノーベル平和賞を受賞した。2010年には自宅軟禁を解かれ、現在は政治活動を再開している。 砂像彫刻者:Katsuhiko Chaen(茶圓勝彦)日本

白い象の伝説(公開制作作品)

白い象の伝説(公開制作作品)

『白い象の伝説』 1894年発刊。原題:Mémoires d’un éléphant blanc作者:ジュディット・ゴーティエ(Judith Gautier)。これに登場する象の姿を砂像で表現した。 砂像彫刻者:Katsuhiko Chaen(茶圓勝彦)日本